”総務の主人公”という新しいジャンル

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元・株式会社インテリジェンス代表取締役社長の鎌田和彦氏が書いた、話題の『奥さまはCEO』を読みました!

 

 

帯には、サイバーエージェントCEOの藤田晋氏が「あまりのリアルな内容に驚き、感心し、笑いました。ホントのベンチャーの姿を描いた傑作エンタメ小説です。」と書かれてあります。一通り読み終えたせいぽんも、これはビジネス系エンタメ小説に違いないし、普通に面白く読めると思います。

ところで、せいぽんは、この本、他に売り出し方があると思ったんですよね。

それはズバリ、主人公が総務担当ということ。

思い出して下さい、今までに手に取った様々なビジネス書を。総務職が主人公を飾るなんてこと、ありましたか?

せいぽんは無いんですよね。だいたいビジネス書やビジネス小説なんていうのは、花形、それこそCEOそのものや伝説の営業マン、凄腕の投資銀行マンなんかが主人公なわけです。管理部門の中では経営企画、そして人事なんかはまぁあるかなと思いますが・・・総務。

どうですか?無いでしょ?

しかしまぁ、総務が主人公っていうのは新鮮ですね。社内全部署がある意味でお客様で、社員に対してサービス提供をしなくてはならない。その総務担当に襲いかかる仲間であるはずの社員の刃といったらそれはもう。心当たりのある人も多いはずです(苦笑)。しかも、成長期のベンチャー企業ってのは、どうしてもパワーバランス的に、稼いでいる部署の力が強いですから。そして、どんどん要求されることも多くなり、難易度も上がってくる。踏んだり蹴ったりのポジションですよね。

しかしながら、そんな総務職は当然、全部署のいろんな人とコミュニケーションを取って、誰は仕事がやりやすい/誰は仕事がやりづらいだの、様々な情報が集まります。んでもって、誰々は総務の前とCEOの前では態度が違うとかいうことに気付いたりしちゃったりとか、多分、するわけです。そしてその情報は実は強い。「あの人、総務に依頼する時にはこんなひどい依頼の仕方するんですよね」と言えちゃうというところが実は強い。

さらにこの総務機能、営業担当などの現場のひとたちにとって(利用出来)ないとないで現場は困る訳ですから(要は営業担当が自分でやらなければいけませんから)、いろいろ文句は言われても、最後には「じゃーテメーでやれや」ということも言えてしまう。

そんな弱いようで実は強いかもしれない総務が、ビジネス書の主人公を務めることが出来ると示したこの本の意義は、実は大きいのかもなと思います。だって、こんな面白おかしいことが書けてしまうんですから。

発展途上のゴミ処理と同じように、総務室の仕事はやってもやってもなくならない。急成長中のベンチャー企業には波及効果を考えずに行動する猛者が数多く生息している。突然レイアウトを変更して他部署のステレージが置けなくなる。電気容量を考えずにサーバーを購入して動かない。販促物を一括大量に印刷してプリンターが使えなくなる。盛り上げのために新人に火焔ショーをやらせてスプリンクラーが作動する。その度ごとに総務室は対応に追われた。

(名刺の受発注業務については)次から次へと新たなプロジェクトが生まれ、いつの間にか消える。(中略)社員は絶え間なく入れ替わり、その度ごとに社内連絡のためのイントラネットを更新し、受付の表示を書き換え、新たに名刺を作り替える。(中略)名刺が出来た時にはその部署がなくなっているかもしれないし、その社員はすでに退職しているかもしれないのだ。

ちなみに、本の中でもっとも印象的なコメントは、

(中略:作った名刺が、誤字脱字や退職/異動等によってすぐにボツになり、名刺を発注した印刷会社に値引き交渉する話を受けて)パワーとコストを掛けてゴミを作り、そのゴミのためにまた仕事をする。不毛以外の何物でもないのだ。

※一部、省略して本書より抜粋

 

いやー、ほんと、成長期の管理部門、なかでも総務職の悲喜交々な感じは、なんというか、同情します。そしてそれは、きっとその社内でも、今回のような書籍という形での社外においても、貴重なコンテンツとして認められていいんじゃないか、って思いますね。

#真面目な話、例えば以下の部分は、組織内の会計=管理会計を導入している企業の実態をよく表していると思います。

(成長期にある企業を例にして)各部門が収益管理に意欲的であるために、自部門の部分最適を追求し過ぎる傾向がある。その結果、自組織の採算を向上するための無駄な社内調整がそこそこに生じていた。(中略:管理会計を導入している経営者はそれは承知の上で)部門別会計の副産物である社内調整が増えたとしても、各部門が執着的に売上利益を追求することで十分以上の成果を上げている現在、その原動力である部門別会計の仕組みを改める気はなかった。それらの矛盾をどこかが一手に引き受けてくれればいい。つまりそれが総務室という貧弱な組織の存在意義であった

そう言う意味では、この『奥さまはCEO』は、”総務の主人公”のビジネス書の可能性を拓きましたよね。これからこういう類の本が増えてくれば面白いし、読んでみたいなと思います。

ほんだらのー!

Seipon

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